2011年 06月 06日
ベルリオーズ:幻想交響曲/佐渡裕指揮 |
佐渡裕/パリ管弦楽団による初録音で、エイベックスは当盤を皮切りに、シュトゥットガルト放送交響楽団とのマーラー5番、スイス・ロマンド管弦楽団とのプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」と、3ヶ月連続で佐渡のライブ録音をリリースするとのこと。
フォーマットは、舘野泉の「左手のためのピアノ作品集」、高橋悠治の「ゴルドベルク変奏曲」などと同様、CCCDではない通常のCDとなっており、同社もようやくまっとうなクラシック・レーベルとしての一歩を踏み出してきた感があります。音源はRadio Classiqueによる放送録音(ライブ)で、日本のJVCマスタリングセンターでマスタリングが行われています。おそらく今後続く2作も同様の形態での発売によるものでしょう。
演奏の方は、予想通り佐渡ならではの「骨太」「肉厚」「熱血」といったキャラクターが前面に出ているもので、とにかく元気いっぱい、これでもかというほどにオーケストラを分厚く鳴らしています。近年の交響曲録音では珍しいくらいに重心の低い響きで、往年の巨匠、というか、まさに彼の師であるバーンスタインの晩年の演奏を思わせます。
といっても、晩年のバーンスタインが陥りがちだった鈍重さはなく、テンポは遅めなのに、しっかり地面を蹴り上げながら走るような推進力があり、テクスチュアも必要十分な透明度を保っています。これまでスタジオ録音が多かった佐渡ですが、ここではライブにおける彼の良さが十全に捉えらており、後半2楽章での重厚感を伴った燃焼ぶりや、弱音部や緩徐楽章での円満な優しさが印象に残りました。終演後の熱狂的な拍手も納められており、会場は「ブラボー」の嵐、口笛(吹き方からして「ブー」の意味の口笛ではないと思われる)まで聞こえます。
反面、いわゆる「フランス的」な洒脱さは、表現、音色のいずれからもあまり感じられず、第2楽章などはもう少し軽やかさがあってもいいように思いました。全体的に、表題性よりもシンフォニーとしてのまとまりを、病的な面よりもストレートな情熱を優先させた演奏といえると思います。
録音はややオンマイク気味で、同曲・同オケ・同会場のエッシェンバッハ盤(navie)が比較的パースペクティブな音作りをしていたのとは対照的です。とはいえ、放送録音にありがちな線の細さやきつさはなく、現代のライブ録音としては水準以上のものといえると思います。ただ、客席ノイズはやや多めかもしれません。指揮者のうなり声も入ります。終楽章の鐘の音はやや高めですが、音量や音像定位は常識的なレベル、ティンパニの定位振り分けも、過剰に左右に寄せることのない自然なものです。
* avex-CLASSICS/AVCL-25029
* ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14
* 佐渡裕指揮 パリ管弦楽団
* 録音:2002年3月6,7日 パリ、サル・プレイエル(ライブ)
フォーマットは、舘野泉の「左手のためのピアノ作品集」、高橋悠治の「ゴルドベルク変奏曲」などと同様、CCCDではない通常のCDとなっており、同社もようやくまっとうなクラシック・レーベルとしての一歩を踏み出してきた感があります。音源はRadio Classiqueによる放送録音(ライブ)で、日本のJVCマスタリングセンターでマスタリングが行われています。おそらく今後続く2作も同様の形態での発売によるものでしょう。
演奏の方は、予想通り佐渡ならではの「骨太」「肉厚」「熱血」といったキャラクターが前面に出ているもので、とにかく元気いっぱい、これでもかというほどにオーケストラを分厚く鳴らしています。近年の交響曲録音では珍しいくらいに重心の低い響きで、往年の巨匠、というか、まさに彼の師であるバーンスタインの晩年の演奏を思わせます。
といっても、晩年のバーンスタインが陥りがちだった鈍重さはなく、テンポは遅めなのに、しっかり地面を蹴り上げながら走るような推進力があり、テクスチュアも必要十分な透明度を保っています。これまでスタジオ録音が多かった佐渡ですが、ここではライブにおける彼の良さが十全に捉えらており、後半2楽章での重厚感を伴った燃焼ぶりや、弱音部や緩徐楽章での円満な優しさが印象に残りました。終演後の熱狂的な拍手も納められており、会場は「ブラボー」の嵐、口笛(吹き方からして「ブー」の意味の口笛ではないと思われる)まで聞こえます。
反面、いわゆる「フランス的」な洒脱さは、表現、音色のいずれからもあまり感じられず、第2楽章などはもう少し軽やかさがあってもいいように思いました。全体的に、表題性よりもシンフォニーとしてのまとまりを、病的な面よりもストレートな情熱を優先させた演奏といえると思います。
録音はややオンマイク気味で、同曲・同オケ・同会場のエッシェンバッハ盤(navie)が比較的パースペクティブな音作りをしていたのとは対照的です。とはいえ、放送録音にありがちな線の細さやきつさはなく、現代のライブ録音としては水準以上のものといえると思います。ただ、客席ノイズはやや多めかもしれません。指揮者のうなり声も入ります。終楽章の鐘の音はやや高めですが、音量や音像定位は常識的なレベル、ティンパニの定位振り分けも、過剰に左右に寄せることのない自然なものです。
* avex-CLASSICS/AVCL-25029
* ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14
* 佐渡裕指揮 パリ管弦楽団
* 録音:2002年3月6,7日 パリ、サル・プレイエル(ライブ)
by ucc3apde
| 2011-06-06 22:48
| 交響曲/管弦楽曲/協奏曲