2004年 06月 20日
ヴェルディ:レクイエム/チョン・ミュンフン指揮 NHK交響楽団 |
「ライブの雰囲気を伝えていない」「マイクが捕らえ切れていない」などといった批評とともに、その演奏家の生演奏での良さが録音では味わえないというケースに遭遇することがよくあります。自分は生演奏至上主義ではないので、レコードでの演奏だけで満足してしまうことも多いのですが、チョン・ミュンフンという指揮者に関しては、ロンドン交響楽団と来日した際の実演を聴いて以来、CDでの演奏が取りすましたものに聴こえて仕方がありませんでした。
当日のプロはドヴォルザークの交響曲第8番、マーラーの交響曲第1番というものでしたが、その際の大胆な緩急の付け方、ムチのように弾むリズム、そして圧倒的な生命力といったものは、彼の録音ではあまり感じられないものでした。実際、ウィーン・フィルとのドヴォルザークの録音は、表現は近いものの、フォルムを優先した美麗な演奏になっており、生演奏での興奮を伝えるものではありませんでした。
よくよく考えてみると、この人の録音にはライブ録音があまりありません。(今どきセッション録音をさせてもらえるというのはむしろ恵まれているともいえるのですけど。)そんな中で、N響のライブ録音シリーズとして発売されたこの1枚は、「ライブのチョン・ミュンフン」が味わえる数少ない存在です。
「怒りの日」の壮絶さはもちろんですが、楽曲冒頭などでの静謐さ、「リベラ・メ」での立体感なども見事です。上述したような、ライブにおけるチョン・ミュンフンの特徴がかなり出ています。いわゆる一発録りの完全ライブ録音ながら、N響、合唱・独唱陣も疵の少ない、高水準なパフォーマンスを聴かせてくれます。
ただ…、人によっては彼の演奏から、ある種の「短気さ」のようなものを感じるかもしれません。山崎浩太郎氏が言うところの「深い呼吸」からは遠いところにある、独特の焦燥感のようなものが彼の指揮にはあるのです。自分には、それが「劇薬」的な魅力として映るのですが。
■NHKサービスセンター(キングレコード)/KICC 3034-5(2枚組)
■ヴェルディ:レクイエム
■チョン・ミュンフン指揮 NHK交響楽団,二期会合唱団,
■中村智子(ソプラノ),西明美(アルト),佐野成宏(テノール),直野資(バリトン)
■録音:1998年9月3日 NHKホール(ライブ)
当日のプロはドヴォルザークの交響曲第8番、マーラーの交響曲第1番というものでしたが、その際の大胆な緩急の付け方、ムチのように弾むリズム、そして圧倒的な生命力といったものは、彼の録音ではあまり感じられないものでした。実際、ウィーン・フィルとのドヴォルザークの録音は、表現は近いものの、フォルムを優先した美麗な演奏になっており、生演奏での興奮を伝えるものではありませんでした。
よくよく考えてみると、この人の録音にはライブ録音があまりありません。(今どきセッション録音をさせてもらえるというのはむしろ恵まれているともいえるのですけど。)そんな中で、N響のライブ録音シリーズとして発売されたこの1枚は、「ライブのチョン・ミュンフン」が味わえる数少ない存在です。
「怒りの日」の壮絶さはもちろんですが、楽曲冒頭などでの静謐さ、「リベラ・メ」での立体感なども見事です。上述したような、ライブにおけるチョン・ミュンフンの特徴がかなり出ています。いわゆる一発録りの完全ライブ録音ながら、N響、合唱・独唱陣も疵の少ない、高水準なパフォーマンスを聴かせてくれます。
ただ…、人によっては彼の演奏から、ある種の「短気さ」のようなものを感じるかもしれません。山崎浩太郎氏が言うところの「深い呼吸」からは遠いところにある、独特の焦燥感のようなものが彼の指揮にはあるのです。自分には、それが「劇薬」的な魅力として映るのですが。
■NHKサービスセンター(キングレコード)/KICC 3034-5(2枚組)
■ヴェルディ:レクイエム
■チョン・ミュンフン指揮 NHK交響楽団,二期会合唱団,
■中村智子(ソプラノ),西明美(アルト),佐野成宏(テノール),直野資(バリトン)
■録音:1998年9月3日 NHKホール(ライブ)
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by ucc3apde
| 2004-06-20 20:45
| オペラ/声楽曲