2004年 06月 22日
シューベルト「グレイト」/ジュリーニBBCライブ |
BBC LEGENDSから、ジュリーニ指揮のシューベルト:交響曲第8(9)番「グレイト」がリリースされました。彼のこの曲の録音は、シカゴ交響楽団(DG)、バイエルン放送交響楽団(SONY)に続く3種目のものとなりますが、録音時期としては今回のものが最も古いものになります。オーケストラは、この時期親密な関係にあったロンドン・フィル、ロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブ録音です。
ジュリーニの「グレイト」といえば、過去の2盤における、第1楽章主部の強烈なレガーティッシモが最大の特徴でした。もともとレガート指向の強い、「歌う」指揮者だったとはいえ、あのレガーティッシモには賛否が分かれたようで、特にシカゴ盤の方は、オケの威力と相まって、この人には珍しい「下品さ」すら感じさせてしまうものがありました。(自分は好きですけどね。単調になりがちなあのフレーズは、何らかの処理を加えないと飽きてしまいますので。)
が、今回の録音では、そのレガーティッシモが現れません。シカゴ盤の2年前(1975年)の録音であるにも関わらず、表現は非常にオーソドックス、ストレートであり、むしろ1960年代のジュリーニに近いものを感じさせます。といっても、決して物足りないわけではなく、全体にライブの感興が乗っており、特に後半2楽章の若々しい弾み方には大いにエキサイトさせられます。
また、「ロンドン・フィル」という切り口で考えると、サー・エイドリアン・ボールドによる同曲の録音やライブも同時期に行われており、今回の録音にも、どこかボールドのような大らかさ、柔らかさが同居しているように感じられます。
カップリングはウェーバーの「魔弾の射手」序曲、ブリテンの「家の建築」序曲の2曲と、3分ほどのジュリーニのインタビューが収められています。ウェーバーは、序奏やコーダ突入直前の静かな部分の緊張感が見事。ブリテンは「序曲」ながら合唱付きで、作風的には「ピーター・グライムズ」あたりに近いように思いますが、合唱パートは比較的平易で、管弦楽の方にブリテンらしさが表れています。インタビューの方は、オケのヴィオラ奏者から指揮者になった経緯、指揮者論、音楽論などが簡潔に述べられています。
録音はこのシリーズの標準的レベルで、決して優秀ではないけれど、まあ普通に聴ける程度のものです。シューベルトのみステレオ録音。
■BBC LEGENDS/BBCL 4140-2
■ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲,
■シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 D.944「グレイト」,
■ブリテン:「家の建築」序曲 op.79,
■アラン・ヘイドックによるジュリーニとの対話
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(シューベルト)
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団(ウェーバー)
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団,合唱団(ブリテン)
■録音:1975年5月14日(シューベルト),1970年12月13日(ウェーバー),
■1968年1月16日(ブリテン) ロンドン,ロイヤル・フェスティバル・ホール(全てライブ)
■※シューベルトのみステレオ録音、他はモノラル録音
ジュリーニの「グレイト」といえば、過去の2盤における、第1楽章主部の強烈なレガーティッシモが最大の特徴でした。もともとレガート指向の強い、「歌う」指揮者だったとはいえ、あのレガーティッシモには賛否が分かれたようで、特にシカゴ盤の方は、オケの威力と相まって、この人には珍しい「下品さ」すら感じさせてしまうものがありました。(自分は好きですけどね。単調になりがちなあのフレーズは、何らかの処理を加えないと飽きてしまいますので。)
が、今回の録音では、そのレガーティッシモが現れません。シカゴ盤の2年前(1975年)の録音であるにも関わらず、表現は非常にオーソドックス、ストレートであり、むしろ1960年代のジュリーニに近いものを感じさせます。といっても、決して物足りないわけではなく、全体にライブの感興が乗っており、特に後半2楽章の若々しい弾み方には大いにエキサイトさせられます。
また、「ロンドン・フィル」という切り口で考えると、サー・エイドリアン・ボールドによる同曲の録音やライブも同時期に行われており、今回の録音にも、どこかボールドのような大らかさ、柔らかさが同居しているように感じられます。
カップリングはウェーバーの「魔弾の射手」序曲、ブリテンの「家の建築」序曲の2曲と、3分ほどのジュリーニのインタビューが収められています。ウェーバーは、序奏やコーダ突入直前の静かな部分の緊張感が見事。ブリテンは「序曲」ながら合唱付きで、作風的には「ピーター・グライムズ」あたりに近いように思いますが、合唱パートは比較的平易で、管弦楽の方にブリテンらしさが表れています。インタビューの方は、オケのヴィオラ奏者から指揮者になった経緯、指揮者論、音楽論などが簡潔に述べられています。
録音はこのシリーズの標準的レベルで、決して優秀ではないけれど、まあ普通に聴ける程度のものです。シューベルトのみステレオ録音。
■BBC LEGENDS/BBCL 4140-2
■ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲,
■シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 D.944「グレイト」,
■ブリテン:「家の建築」序曲 op.79,
■アラン・ヘイドックによるジュリーニとの対話
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(シューベルト)
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団(ウェーバー)
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団,合唱団(ブリテン)
■録音:1975年5月14日(シューベルト),1970年12月13日(ウェーバー),
■1968年1月16日(ブリテン) ロンドン,ロイヤル・フェスティバル・ホール(全てライブ)
■※シューベルトのみステレオ録音、他はモノラル録音
by ucc3apde
| 2004-06-22 09:54
| 交響曲/管弦楽曲/協奏曲